「新電力はやめたほうがいい」「やばい」「倒産した会社もある」——電気代を安くしたくて調べ始めたのに、こんな言葉ばかり目に入って不安になっていませんか?

私は不動産の賃貸営業として、日々お客様のお引越しに携わっています。その現場で見てきたのは、新電力の倒産騒動よりもっと身近な、「電気契約の勘違いで損をしている人」の多さです。

結論から言うと、「新電力はやめたほうがいい」は半分正解で、半分間違いです。

やめたほうがいい新電力には共通の特徴があり、それを避ければ電気代は安全に下げられます。そして賃貸に住んでいる方は、その前に知っておくべき「契約のワナ」があります。

この記事では、公的データと不動産営業の現場で見てきた実態の両方から、後悔しない電気の選び方を解説します。


この記事でわかること

  • 「新電力はやめたほうがいい」と言われる3つの理由
  • 倒産・撤退が2年で4倍に増えた実態
  • 不動産営業マンが見てきた「管理会社指定のライフライン契約」のウソ
  • 契約を避けるべき新電力の特徴とチェックリスト
  • 安心して選べる新電力の3つの条件
  • もし契約中の新電力が倒産したらどうなるか

「新電力はやめたほうがいい」と言われる3つの理由

にーにー

そもそも、なんで新電力は『やばい』って言われてるの?

シーマくん

理由は大きく3つあるんだ。全部『どの新電力を選んだか』で明暗が分かれた話だから、順番に見ていこう!

理由①:市場連動型プランで電気代が数倍になった

2021年1月、電力の卸売市場(JEPX)の取引価格が異常高騰しました。普段は1kWhあたり10円前後の価格が、一時は10倍以上に跳ね上がったのです。

このとき直撃を受けたのが「市場連動型プラン」の契約者です。

プランの種類仕組み高騰時の影響
市場連動型卸売市場の価格に連動して単価が変わる電気代が2倍〜数倍に
固定単価型単価があらかじめ決まっているほぼ影響なし

市場連動型プランの家庭では、月の電気代が普段の数倍に膨らむケースが続出しました。「新電力はやばい」というイメージの多くは、この騒動から生まれています。

ねーねー

えっ、じゃあ新電力にしたら電気代が何倍にもなっちゃうかもしれないの…?

シーマくん

それは市場連動型プランを選んだ場合だけだよ!固定単価型の人はこの高騰の影響をほぼ受けていないんだ。『新電力=危険』じゃなくて『市場連動型=リスク大』が正確な理解だよ

理由②:倒産・撤退が2年で4倍に急増

帝国データバンクの調査によると、新電力の倒産・事業撤退は次のように推移しています。

時期倒産・撤退の累計新規受付停止
2022年3月31社
2023年3月112社(ピーク)
2024年3月119社(約4倍)69社(うち47社は再開)

ロシア・ウクライナ情勢による燃料価格の高騰で、電気の仕入れ値が売値を上回る「逆ざや」となり、体力のない会社から順に淘汰されていきました。

ここで注目したいのは、撤退した新電力の多くが自社で発電所を持たず、市場からの仕入れに依存していた会社だったという点です。市場価格が落ち着いた現在は状況が改善傾向にあるものの、「会社選びを間違えると倒産リスクがある」こと自体は今も変わりません。

理由③:高額請求・悪質な勧誘トラブル

一部の新電力では「安くなると聞いて契約したのに高額請求が来た」というトラブルも報告されており、単身世帯で月5万円超の請求がSNSで話題になった事例もあります。

また、国民生活センターには次のような苦情が寄せられています。

  • 「アパート全体の電気契約が変更になる」と嘘をつかれた
  • 検針票を見せたら勝手に契約を変更された
  • 「大手電力から委託を受けている」と偽って勧誘された

実はこの「アパート全体の契約が〜」という手口、不動産の現場では別の形でも横行しています。次の章が、この記事で一番伝えたい話です。


不動産営業だから知っている「電気契約の勘違い」

ここからは、公的データには出てこない、私が賃貸営業の現場で実際に見てきた話です。新電力うんぬんの前に、賃貸住まいの方はまずここを押さえてください。

「管理会社指定の電気・ガス・水道」は契約しなくても審査に落ちない

近年、賃貸物件の申し込みの際に、管理会社側が電気・ガス・水道の契約先を指定してくるケースが非常に増えています。

そして入居前のお客様から、本当によく受けるのがこの質問です。

ねーねー

入居申し込みを完了後、本人確認の電話で「ライフラインの契約はこちらで」って案内されたんだけど…そこで契約しないと審査に落とされるよね?

シーマくん

落ちないよ!ライフラインの契約先と入居審査は全くの無関係なんだ!強引に契約させるために、審査のタイミングで案内をすることで、審査に関係あるような雰囲気を出してくるだけだよ!

にもかかわらず、あたかも契約が入居の条件であるかのような案内をされ、そのまま契約してしまう方が後を絶ちません。

そして残念ながら、私の経験上、管理会社指定の契約先は割増で請求されることがほとんどです。管理会社や取次会社に手数料が入る仕組みになっているためで、入居者にとって得になるケースはまずありません。

勘違いされやすいポイント実際
指定先で契約しないと審査に落ちる?落ちない(審査と無関係)
指定先の料金は普通?割増で請求されることがほとんど
断ったら入居できない?断っても入居できる

入居後でも電力会社は自由に切り替えられる

もうひとつ多いのがこの質問です。

にーにー

指定された電力会社で契約しちゃって入居したんだけど、その後、管理会社に問い合わせたら「切り替えはダメ」って言われたんだ。本当にダメなの?

シーマくん

原則、電力会社は入居後でも、いつでも自由に切り替えられるよ!電気の契約は入居者と電力会社の間の契約で、管理会社に決定権はないんだ

「アパート全体の契約が変わるから」といった説明で引き止めてくる管理会社もありますが、私の知る限り、そのような事実はまずありません。

唯一の例外は、建物全体で電気を一括契約している「高圧一括受電」の物件です。この場合だけは個別の切り替えができません。ただ、現場感覚として該当物件はかなり減ってきており、遭遇するケースはレアです。

築年数が30~40年以上の物件であるかないかのレベルなので、それより浅い築年数であれば、問題ないと認識して大丈夫です。

困ったときは、今のお部屋の管理会社ではなく、その物件を紹介してくれた仲介業者に相談してください。仲介業者は入居者側の立場でアドバイスできます。管理会社は代理店との手数料と直結しているため、公平な回答は期待しにくいのが実情です。


契約を避けるべき新電力の3つの特徴

電気は自分で選べるとわかったところで、次は「選んではいけない新電力」です。新電力で後悔する人は、ほぼ次のどれかに当てはまる会社を選んでいます。

特徴①:市場連動型プランしかない

前述のとおり、市場価格の高騰リスクを契約者がそのまま背負う仕組みです。電気を使う時間帯を細かくコントロールできる家庭以外にはおすすめしません。

特徴②:自社電源がなく、財務基盤が弱い

倒産・撤退した新電力の多くがこのタイプでした。自社で発電所を持たない会社は、仕入れ価格の高騰に耐えられません。母体企業の規模と事業基盤は契約前に必ず確認しましょう。

特徴③:解約金・違約金が高額

「安いと思ったら、やめるときに違約金が…」というパターンです。契約期間の縛りと違約金の有無は、申し込み前の必須チェック項目です。

契約前に必ず確認するチェックリスト

チェック項目確認ポイント
① 料金プラン市場連動型ではないか
② 運営会社母体は大手か・自社電源はあるか
③ 解約条件違約金・契約期間の縛りはないか
④ 燃料費調整額仕組みと上限の有無
⑤ 物件(賃貸の場合)高圧一括受電ではないか
シーマくん

この5つを確認するだけで、『新電力はやめたほうがいい』と後悔するリスクの大半は避けられるよ!


失敗しない新電力の選び方|安心できる3つの条件

避けるべき特徴を裏返すと、安心できる新電力の条件になります。

条件理由
① 市場連動型ではない(固定単価型)市場高騰の影響を受けない
② 大手グループで財務基盤が強い倒産・撤退リスクが低い
③ 自社で発電所を持っている仕入れ価格に左右されにくい

正直に言うと、「電気会社に特にこだわりがない」なら、地域の大手電力のままでも問題ありません。私も営業の現場でお客様にそうお伝えすることがほとんどです。大手なら勧誘の電話も来ませんし、料金体系も標準的だからです。

そのうえで、「大手並みの安心感は欲しい。でも少しでも電気代は下げたい」という方に、3つの条件をすべて満たす選択肢としておすすめできるのが東京ガスの電気です。

  • 料金プランは市場連動型ではなく、市場高騰の影響を直接受けない仕組み
  • 大手エネルギー企業で、新電力の販売量は全国トップクラス
  • 新電力では珍しく自社で発電所を保有し、仕入れ価格に左右されにくい

私もau電気に切り替える前は東京ガスの電気を長く使っていました。特別なことは何も起きない、良い意味で「普通に使える」電力会社です。都市ガスとセットにすれば電気料金が0.5%割引になり、支払いも一本にまとまります。

ねーねー

でも、切り替えの手続きって面倒じゃないの…?

シーマくん

工事は不要で停電もなし、今の電力会社への連絡も不要だよ!手続きの流れは切り替え体験談の記事で詳しく解説してるから、あわせて読んでみてね!

東京ガスの電気への切り替え方法を解説|au電気・auガスの解約で3時間かかった私の体験談 にーにー 新電力に切り替えたいけど、手続きが面倒そう、、、 シーマくん その気持ち、痛いほどわかるよ。 切り替え...

注意点も正直に伝えると、東京ガスの電気は「燃料費調整額」に上限がありません。燃料の輸入価格が大きく上がる局面では電気代が上がる可能性があります。ただしこれは市場連動型の高騰リスクとは別物で、多くの電力会社が同様の仕組みを採用しています。


もし契約中の新電力が倒産したらどうなる?

ねーねー

でもさ、もし契約した会社が倒産しちゃったら、電気が止まるんじゃないの?

シーマくん

良いところに気が付いたね!結論、いきなり電気が止まることはないよ!『最終保障供給』というセーフティネット(救済の電気)があるんだ!

よくある不安実際
電気が止まる?止まらない(送配電事業者が一時的に供給を引き継ぐ)
何もしなくていい?早めに次の電力会社への切り替えが必要
料金はそのまま?最終保障供給の料金は割高

つまり倒産リスクの実態は「電気が止まること」ではなく「割高な料金と乗り換えの手間」です。だからこそ、最初から財務基盤の強い会社を選んでおくのが一番の防御策になります。


よくある質問

Q1. 新電力に切り替えると電気の品質は下がる?

下がりません。送電網は地域の送配電事業者のものを共通で使うため、停電のしやすさや電気の質は契約先で変わりません。

Q2. 賃貸マンションでも本当に切り替えできる?

できます。管理会社に「ダメ」と言われても、原則は入居者の自由です。例外は高圧一括受電の物件のみですが、現在はかなり少なくなっています。

Q3. 切り替えに必要なものは?

「お客様番号」と「供給地点特定番号」が必要です。検針票か、契約中の電力会社の会員マイページで確認できます。私が切り替えたときは、この2つを探すのが一番面倒だったので、先に手元に用意しておくことをおすすめします。

Q4. 結局、新電力はやめたほうがいい?

「市場連動型のみ」「自社電源なし・財務基盤が弱い」「違約金が高額」な新電力はやめたほうがいいです。逆に3つの条件を満たす会社なら、リスクを抑えて電気代を下げられます。こだわりがなければ大手のままという選択も間違いではありません。


まとめ

「新電力=危険」ではなく、選び方と契約の知識がすべて

この記事のポイント内容
悪評の原因市場連動型の高騰・倒産急増・高額請求トラブル
賃貸のワナ管理会社指定のライフライン契約は割増がほとんど。審査とは無関係
切り替えの自由入居後でも電力会社は原則自由に変更できる
避けるべき会社市場連動型のみ・自社電源なし・違約金が高額
安心の3条件固定単価型 × 大手グループ × 自社電源
ねーねー

『新電力がダメ』なんじゃなくて、選び方と契約の知識で結果が変わるんだね!

にーにー

管理会社に言われるがままだった…僕、指定された電気のままだったよ!

シーマくん

気づけた今がチャンスだよ!電気代は一生払い続ける固定費。一度見直せば効果はずっと続くから、通信費や保険とあわせて、固定費はまとめて点検していこう!


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