ペット可賃貸の注意点|申請を怠ると後で倍の請求が返ってくる理由
この記事でわかること
- 「ペット可」と「ペット相談可」はまったく別物だという話
- ペット可でも飼えるのは中小型の犬猫1〜2匹が中心という現実
- 猫NGの物件が多い理由
- 申請しない人の本当の理由は「忘れ」ではなく敷金の積み増し回避
- 入居数日でバレて退去を求められた実際のケース
- ペット可物件は敷金の上乗せがほぼ100%・償却もほとんどつく
- 退去時にクロスの下地まで張り替えになる理由
- 入居中にできる退去費用を抑える5つの対策
- 不動産営業の視点で見る、ペットと暮らす物件選びのポイント
- 途中から飼う場合の手続きと、その相談の実態
「ペット可の物件だから、飼い始めてから申請すればいいかな」
もしそう考えているなら、この記事を最後まで読んでください。
私は賃貸営業歴10年ですが、ペット飼育の申請をめぐるトラブルを何度も見てきました。入居して数日でバレて、退去を求められた方もいます。
そして正直にお伝えすると、申請しない人の多くは「忘れている」わけではありません。
敷金の積み増しを避けるために、意図的に申請していないのです。
その気持ちは理解できます。しかし現場から伝えたいことがあります。
入口の初期費用を抑える目的で申請を怠ると、後でその倍ぐらいの仕打ちが返ってきます。
この記事では、ペット可物件の実情と、絶対にやってはいけないことをお伝えします。
「ペット可」と「ペット相談可」は別物です

ペット相談可』って書いてあれば、飼えるってことだよね?
そこが危ないんだ。相談可は”確約されていない”ってことだよ!
物件を探していると、この2つの表記を目にします。似ているようで、実務上の意味がかなり違います。
ペット可|飼える種類まで明記されていることが多い
「ペット可」と表記されている物件は、飼育できるペットの種類まで記載されていることが多いです。
「小型犬可」「猫1匹まで」といった具体的な条件が最初から示されているので、自分のペットが対象かどうかを事前に判断できます。
ペット相談可|入口は緩いが、後から断られることがある
一方で「ペット相談可」は、入口が緩いケースが多いです。まずは相談してみてください、というスタンスですね。
ただし注意点があります。
審査を通過した後にオーナーへ確認を取るため、「先に申し込みを入れてください」とオーナーへの確認が後回しになるケースがあります。
その結果、審査に通った後で「やっぱりダメでした」ということが、たまに起こります。
| ペット可 | ペット相談可 | |
|---|---|---|
| 種類の記載 | 明記されていることが多い | 不明確なことがある |
| 入口 | 条件が最初から明確 | 緩い |
| リスク | 少ない | 審査後に断られることがある |
「相談可」の物件では、先に条件を確認してください
だからこそ、「ペット相談可」の物件では広告表記に注意が必要です。
内見や申し込みの前に、担当者を通じて「この種類・この頭数で本当に可能か」をオーナーに確認してもらってください。申し込んでから断られると、時間も労力も無駄になります。
ペット可でも「何でも飼える」わけではありません

ペット可なら、何匹飼ってもいいの?
それは違うんだ。中小型の犬猫で1〜2匹というのが実際のところだよ!
実際に多い条件は「犬猫の中小型・1〜2匹」
関東の傾向としてお伝えすると、ペット可物件で認められているのは、基本的に犬・猫の中小型で1匹〜2匹が多いです。
そして大型犬や3匹以上の複数飼育は、断られることが多いのが実情です。
| 条件 | 可否の傾向 |
|---|---|
| 小型犬・中型犬 1匹 | ◎ 多くの物件で可 |
| 猫 1匹 | ○ 物件による |
| 犬猫 2匹 | ○ 条件次第 |
| 大型犬 | △ 断られることが多い |
| 3匹以上 | △ 断られることが多い |
※地方では傾向が異なる可能性があります。
猫がNGの物件が多い理由
「犬は可だけど猫は不可」という物件、実際によくあります。
理由は明確です。
猫は壁紙のトラブルが多く、退去時の清掃費用が高くなるケースが目立つからです。
爪とぎによる壁紙の損傷、臭いの染み付きなど、これらが原状回復費用を押し上げます。大家さん側からすれば、リスクの大きさが犬と猫で違うということです。
猫を飼っている方、これから飼う予定の方は、物件の選択肢がさらに限られることを前提に探してください。
【最重要】申請しない人は「忘れている」のではありません

ここが、この記事で一番お伝えしたい部分です。
忘れている人は、実は少ない
ペット飼育の申請について、競合記事では「忘れないようにしましょう」という書かれ方をよく見ます。
しかし現場の実感は違います。
申請を忘れる人は、実は少ないです。
本当の理由は「敷金の積み増しを避けたい」
では、なぜ申請しない人がいるのか。
ペットの鳴き声や臭い、引っかき傷などがないという理由をつけて、敷金の積み増しを避けるために、わざと申請しない人が多いというのが実態です。
「うちの子はおとなしいから」「しつけができているから壁は傷つけない」そう考えて、申請せずに飼い始めてしまうのです。
気持ちはわかる…敷金が1ヶ月分増えるのは大きいもんね、、
わかるよ。でもね、その節約が後で倍になって返ってくるんだ!
申請は「申込時」に必ず伝えてください
正しいタイミングは明確です。
申込時に必ず伝えてください。
契約後でも入居後でもなく、申し込みの段階です。ここで伝えておけば、すべてが正規の手続きとして進みます。
申請に必要なもの
ペット飼育の申請では、次のような書類を求められることがあります。
| 求められる書類 | 内容 |
|---|---|
| ワクチン証明書 | 予防接種を受けている証明 |
| 去勢・避妊手術の証明書 | 手術済みであることの証明 |
| ペットの写真 | 種類・大きさの確認 |
| 誓約書 | 飼育条件を守る旨の書面 |
事前に準備しておくと、手続きがスムーズに進みます。
ペット可物件の初期費用は上乗せされます

敷金の上乗せは、ほぼ100%あります
正直にお伝えします。
ペット可物件で飼育する場合、敷金の上乗せはほぼ100%あります。
一般的には家賃1ヶ月分程度の積み増しになることが多く、物件によってはそれ以上のケースもあります。
敷金償却もほとんどついています
そしてもうひとつ、知っておくべき条件があります。
ペット飼育による敷金の償却は、ほとんどの物件についています。
敷金償却とは、預けた敷金のうち一定額が返還されないという特約です。つまり部屋をどれだけ綺麗に使っていても、その分は戻ってきません。
| 通常の敷金 | ペット飼育時 | |
|---|---|---|
| 金額 | 家賃1ヶ月分程度 | 1ヶ月分程度の上乗せ |
| 性質 | 預り金(返還される) | 上乗せ分は償却されることが多い |
| 退去時 | 原状回復費用を差し引いて返還 | 償却分は戻らない |
礼金や家賃の上乗せは、あまりありません
一方で、礼金や家賃の上乗せは、あまりないというのが現場の実感です。
ネット上には「ペット可物件は家賃が高い」という情報もありますが、実際に増えるのは敷金だと考えておくとズレが少ないです。
①敷金の上乗せはいくらか ②そのうち何ヶ月分が償却されるのか ③退去時の清掃費用は別途かかるのか。この3点を契約前に確認してください。特に償却の有無は契約書に明記されているかを必ず見てください。
内緒で飼うと、どうなるのか

バレなければ大丈夫なんじゃないの?
実際にバレたケースを話すね。入居して数日でバレた人がいるんだ!
入居数日でバレたケース
私が見てきた中で、印象に残っているケースがあります。
入居して数日で、管理会社側にたまたまバレてしまった方がいました。
数日というタイミングだったため、「最初から飼うつもりで、故意に申請していなかったのではないか」と疑われ、退去してほしいと言われる事態になりました。
結果的には住み続けられたものの
その方は言い訳に言い訳を重ね、最終的に敷金の積み増しを受け入れることで、継続して住むことができました。
しかし考えてみてください。
結局、敷金の積み増しは払っているのです。しかも退去を求められるという精神的な負担と、信用を失った状態での関係を背負ったうえで。
最初から申請していれば、余計なやり取りは一切なく、同じ金額を払うだけで済んでいました。
内緒の飼育は何度も発覚しています
正直にお伝えすると、内緒で飼っていたことが発覚したケースは、何度もあります。
鳴き声、臭い、共用部での目撃、設備点検など、バレる経路はいくらでもあります。「バレなければいい」という前提自体が、現実的ではありません。
| 内緒で飼った場合のリスク | 内容 |
|---|---|
| 契約違反 | 退去を求められる可能性 |
| 費用 | 結局、敷金の積み増しは請求される |
| 退去時 | 原状回復費用が高額になりやすい |
| 家財保険 | 対象外になるケースがある |
| 信用 | 管理会社・大家との関係が悪化 |
途中から飼い始める場合

相談の多くは「実はすでに飼っている」
入居後にペットを飼いたいという相談を受けることもあります。
ただし正直に言うと、その場合もほとんどが「実はすでに飼っている」というケースです。
飼い始めてから「これはまずいかもしれない」と気づいて相談に来る、という流れですね。
断られることは、ほとんどありません
ここは安心材料としてお伝えします。
途中からの飼育を断られるケースは、ほとんどありません。
もともとペット可の物件であれば、途中から飼い始めること自体は問題にならないことが多いです。
ただし費用はほぼ100%かかります
一方で、追加の費用はほぼ100%かかります。
敷金の積み増しが必要になるので、「途中から飼えば費用を回避できる」ということにはなりません。
すでに飼っている方へ、もし申請せずに飼い始めてしまっているなら、発覚する前に自分から申請してください。「たまたまバレた」場合は故意を疑われますが、自分から申告すれば話がこじれにくくなります。費用は結局かかりますが、退去を求められるリスクは大きく下がります。
退去時の原状回復は、なぜ高額になるのか

多い請求項目は「臭い」と「引っかき傷」
ペット飼育の退去時に、実際に多い請求項目をお伝えします。
臭いと引っかき傷によるクロスの張り替えです。
そして高額になる理由がここにあります。
クロスの「もう一層奥」まで張り替えになる
通常のクロス張り替えは、表面の壁紙を貼り替えるだけで済みます。
しかしペット飼育の場合、臭いや損傷が表面のクロスを越えて、そのもう一層奥の壁紙(下地)まで達していることがあります。
この場合、下地の張り替えまで必要になるため、費用が跳ね上がります。
| 損傷の程度 | 必要な工事 | 費用感 |
|---|---|---|
| 表面のクロスのみ | クロス張り替え | 通常の範囲 |
| 下地まで達している | 下地の張り替え+クロス | 大幅に上がる |
ペットによる損耗は借主負担が原則
国土交通省のガイドラインでも、ペットによる傷や臭いは通常損耗とは認められず、借主負担になるケースがほとんどです。
経年劣化や通常使用による損耗は大家さん負担ですが、ペットに関する部分は別扱いです。
だからこそ、日常的なケアで損傷を最小限に抑えることが、退去費用を抑える最大の対策になります。
入居中にできる、退去費用を抑える5つの対策
「ケアが大事」と言われても具体的にどうすればいいのか。現場で見てきた中で、効果があると感じる対策をまとめます。
| 対策 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 壁の保護 | 腰高までの壁に保護シートやパネルを貼る。爪とぎしやすい場所は重点的に |
| 爪とぎ場所の確保 | 猫用の爪とぎを複数設置し、壁でとがせない環境を作る |
| 床の保護 | 撥水加工のマットやタイルカーペットを敷く。粗相や引っかき傷を防げる |
| こまめな換気 | 臭いは「蓄積」する。毎日窓を開けるだけで染み付き方が変わる |
| 定期的な清掃 | 尿の付着はすぐ拭き取る。放置すると下地まで染み込む |
特に効果が大きいのは、壁の保護と換気です。
前述のとおり、退去費用が跳ね上がるのは臭いや損傷が下地まで達したときです。逆に言えば、表面で食い止められれば、通常のクロス張り替えで済みます。
入居時の写真は必ず撮っておいてください
もうひとつ、忘れないでほしいことがあります。
入居時に部屋中の写真を撮っておいてください。
ペット飼育の場合、退去時に「この傷はペットによるもの」と判断されやすくなります。もともとあった傷なのか、自分がつけたものなのかを証明できるのは、入居時の記録だけです。
スマホの写真には撮影日時が記録されるので、それ自体が証拠になります。壁・床・建具は特に念入りに撮っておいてください。
入居のときに写真を撮っておくだけでいいんだ?
そう。5分の作業で、数万円の差が生まれることもあるんだ!
ペットと暮らす物件選びで見るべきポイント

ペット可という条件だけで物件を選ぶと、住み始めてから困ることがあります。不動産営業の視点から、見ておいたほうがいいポイントをお伝えします。
床材を確認する
フローリングの素材によって、傷のつきやすさが大きく変わります。
表面が柔らかい素材だと、爪の跡がつきやすく退去時の負担が増えます。内見のときに床を実際に見て、既存の傷の状態も確認しておいてください。すでに傷が多い物件は、むしろ気が楽という考え方もあります。
階数と間取りを考える
犬を飼う場合、階数は生活の快適さに直結します。
毎日の散歩で階段やエレベーターを使うことになるので、低層階のほうが負担は小さくなります。一方で鳴き声のことを考えると、上下左右に部屋が少ない角部屋や最上階にメリットがあります。
| 観点 | 望ましい条件 |
|---|---|
| 散歩のしやすさ | 低層階・エントランスに近い |
| 鳴き声への配慮 | 角部屋・最上階 |
| 床材 | 傷がつきにくい素材 |
| 日当たり | 換気・消臭の面で有利 |
日当たりと風通しも、実は重要です。臭いがこもりにくくなり、退去時の消臭費用を抑えることにつながります。
周辺環境も確認しておく
物件そのものだけでなく、周辺に動物病院があるか、散歩できる場所があるかも確認しておいてください。
引っ越してから「近くに動物病院がない」と気づくと、通院のたびに時間と交通費がかかります。物件探しの段階で地図を見ておくだけで防げます。
近隣トラブルを防ぐために
ペット可物件であっても、近隣への配慮は必要です。
現場で聞くトラブルの多くは、鳴き声と共用部でのマナーに関するものです。
- エレベーターや廊下では抱きかかえる、またはケージに入れる
- 共用部での排泄は必ず処理する
- 長時間の留守番による鳴き声に注意する
建物全体がペット可であっても、全員がペットを飼っているわけではありません。基本的な配慮を欠くと、せっかくのペット可物件でも居心地が悪くなります。
なお、内見そのものの進め方については、別記事で詳しくまとめました。チェック項目を増やしすぎると物件が決まらなくなるので、譲れない条件を絞る考え方をお伝えしています。
ペット可物件の探し方

物件数はかなり限られます
ペット可物件を探すうえで、覚悟しておくべきことがあります。
ペット可の物件は、結構物件数が限られてきます。
通常の条件で探すより、選択肢が大幅に少なくなることを前提に動いてください。
コツは「物件全体でペットが飼える物件」を探すこと
現場からのアドバイスです。
物件全体でペットが飼える物件を探してください。
一部の部屋だけペット可という物件より、建物全体がペット可の物件のほうが、住環境として適しています。
理由はシンプルで、他の入居者もペットを飼っているからです。鳴き声や臭いに対する理解があり、トラブルになりにくくなります。逆に一部だけペット可の物件では、他の入居者からの苦情が発生しやすくなります。
たしかに、お互い様の環境のほうが気が楽だね!
そうなんだ。建物全体がペット可かを、探すときの条件に入れてみてね!
時間に余裕を持って探す
物件数が限られるため、通常より時間をかけて探す必要があります。
引っ越しの1〜2ヶ月前から動き始めるのではなく、もう少し早めに情報収集を始めることをおすすめします。
よくある質問

Q1. ペット可物件なら、どんなペットでも飼えますか?
いいえ。犬猫の中小型で1〜2匹という条件が多く、大型犬や3匹以上は断られることが多いです。爬虫類や小動物については物件ごとに判断が分かれます。
Q2. 申請せずに飼っていることは、どうやってバレますか?
鳴き声、臭い、共用部での目撃、設備点検など経路は様々です。入居数日で発覚したケースもあります。
Q3. 敷金の上乗せは交渉できますか?
基本的にできません。ペット飼育による原状回復リスクに対する費用なので、値下げの余地はほぼないと考えてください。
Q4. ペットが亡くなったら、敷金は返ってきますか?
償却が設定されている場合、その分は返ってきません。契約時に償却の条件を確認しておいてください。
Q5. 退去費用を抑える方法はありますか?
日常的なケアが最大の対策です。壁の保護シート、爪とぎ場所の確保、こまめな換気と掃除で、損傷と臭いの蓄積を減らせます。
Q6. 「ペット相談可」で断られたら、申し込み金は返ってきますか?
申込金の扱いは会社によって異なります。申し込む前に、断られた場合の取り扱いを確認しておいてください。
まとめ|入口の節約が出口で倍になって返ってきます

| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ペット可と相談可 | 相談可は審査後に断られることがある |
| 飼える条件 | 犬猫の中小型1〜2匹が中心 |
| 猫 | 壁紙トラブルが多くNGの物件も |
| 申請のタイミング | 申込時に必ず伝える |
| 敷金 | 上乗せはほぼ100%・償却もほとんどつく |
| 内緒の飼育 | 何度も発覚している。退去を求められることも |
| 退去時 | 下地まで張り替えになると高額に |
| 物件探し | 建物全体がペット可の物件を探す |
10年この仕事をしてきて、ペットを飼う方に一番お伝えしたいことはシンプルです。
入口の初期費用を抑える目的でペットの申請を怠ると、後でその倍ぐらいの仕打ちが返ってきます。
敷金の積み増しを回避したい気持ちはわかります。しかし内緒で飼えば、発覚したときに退去を求められ、結局は敷金の積み増しも払うことになります。
愛するペットのためと割り切って、申込時に申請して、敷金の積み増しを受け入れてください。
それが、ペットと安心して暮らすための一番確実な方法です。
結局払うなら、最初から正直に言ったほうがいいね!
私、申し込みのときに必ず伝える!
それが正解だよ!正規の手続きをしておけば、余計な心配をせずに暮らせる。ペットと長く快適に住むための必要経費だと考えてね!
▼ 賃貸契約で損をしないための記事















