賃貸の連帯保証人より「緊急連絡先」|賃貸営業歴10年の私が教える現実
この記事でわかること
- 今の賃貸は9割以上が保証会社必須という現状
- 保証人より「緊急連絡先」でつまずく人が多いという現場のリアル
- 緊急連絡先を頼まれた人が実際に何をするのか
- 保証会社の保証料の実額(初回・更新料・月額型)
- 初期費用全体の中で保証料が占める割合
- 保証料は交渉できないという事実
- 保証会社は自分で選べないという重要な前提
- 「この保証会社にしてほしい」と言ってはいけない理由
- 連帯保証人を立てるメリットは今はほぼないという現実
- 保証会社と良好な関係を築いておくべき理由
「連帯保証人を頼める人がいない。部屋を借りられないのでは」
そう不安に思っている方は多いと思います。私も賃貸営業として約10年、この相談を数え切れないほど受けてきました。
先に結論をお伝えします。
連帯保証人がいなくても、賃貸物件は問題なく借りられます。 今は保証会社を使う契約が標準になっているからです。
ただし、多くの記事が触れていない事実があります。
現場で本当につまずくのは、連帯保証人ではなく「緊急連絡先」です。
この記事では、保証会社の費用のリアルと、緊急連絡先という見落とされがちな壁について、申し込みを取り次ぐ側からお伝えします。
今の賃貸は「保証会社必須」がほぼ標準です

保証人がいないと借りられないって思ってた…
今はもう違うんだ。そもそも保証人を立てる物件のほうが少数派なんだよ!
保証会社が必須の物件は9割以上
現場の体感としてお伝えすると、保証会社の利用が必須になっている物件は9割以上です。
つまり「連帯保証人を立てれば保証会社は不要」という物件は、1割もありません。
10年前と比べても、この傾向は加速しています。大家さんにとって、個人の連帯保証人よりも保証会社のほうが確実に家賃を回収できるからです。
連帯保証人だけで契約できる物件はほぼない
「保証人だけで契約したい」という希望をいただくこともありますが、基本的にそういう物件はありません。
例外的なケースとして、大手企業の法人契約があります。この場合は保証会社を入れずに保証人だけ、あるいは保証人もなしで契約できる物件もあります。
ただしこれは会社が契約者になるケースなので、個人で借りる場合には当てはまりません。
| 契約形態 | 保証会社 |
|---|---|
| 個人契約(一般的なケース) | 9割以上が必須 |
| 個人契約で保証人のみ | 1割未満 |
| 大手法人契約 | 不要なケースもある |
だから「保証人がいない」ことは問題になりません
ここまでの話をまとめると、保証人がいないことを心配する必要はほとんどないということです。
そもそも保証人を求められない物件が大半なので、「頼める人がいない」という悩み自体が、実は解決済みの問題になっています。
【本当の問題】つまずくのは「緊急連絡先」です

じゃあ何も心配いらないの?
それが違うんだ。緊急連絡先がないと、申し込み自体ができないんだよ!
親に頼めない問題は、保証人より緊急連絡先で起きる
現場の実感として、「親に頼めない」という相談は、保証人よりも緊急連絡先のほうが圧倒的に多いです。
保証人は立てなくても問題ありません。しかし緊急連絡先は必ず必要になります。 そしてここでつまずく方が本当に多いのです。
緊急連絡先がないと申し込みができない
これが最も重要な点です。
緊急連絡先を立てられないと、申し込み自体ができません。
保証会社の審査に落ちるという話ではなく、申込書を提出する段階で止まってしまうということです。物件を探して内見して気に入っても、緊急連絡先の欄が埋まらなければ前に進めません。
緊急連絡先と連帯保証人の違い
そもそも役割が違うので、整理しておきます。
| 連帯保証人 | 緊急連絡先 | |
|---|---|---|
| 役割 | 家賃を代わりに支払う義務を負う | 連絡が取れないときの連絡先 |
| 金銭的責任 | あり | なし |
| 求められる条件 | 収入・支払い能力 | 連絡が取れること |
| 必要性 | 今はほぼ不要 | ほぼ必須 |
緊急連絡先には金銭的な責任が一切ありません。「保証人になってほしい」と頼むのは気が重いですが、緊急連絡先なら頼むハードルはずっと低いはずです。
頼むときの伝え方ですが、「保証人になってほしい」と言うと相手は身構えます。でも「お金の責任は一切ない、連絡が取れないときの連絡先として名前を貸してほしい」と正確に伝えれば、引き受けてもらいやすくなります。役割の違いを説明することが第一歩です。
親に頼めない場合は兄弟姉妹を
親に頼めないという方には、兄弟姉妹に頼めないかを確認します。
緊急連絡先は続柄の条件が緩いことが多く、親でなくても問題ありません。兄弟姉妹、場合によってはそれ以外の親族でも認められるケースがあります。
まずは「誰にも頼めない」と決めつける前に、連絡先として名前を出せる人がいないか考えてみてください。
緊急連絡先を頼まれた人は、実際に何をするのか
頼む側が一番気にするのが「相手に迷惑がかからないか」という点です。ここを説明できると、頼みやすくなります。
緊急連絡先として登録された人に実際に起こることは、次のとおりです。
| タイミング | 起こること |
|---|---|
| 申し込み時 | 名前・住所・電話番号・続柄を申込書に記載される |
| 審査時 | 保証会社から確認の電話が入ることがある(本人確認程度) |
| 入居中 | 基本的に何も起こらない |
| 連絡が取れないとき | 管理会社や保証会社から連絡が入る |
入居中に何も起こらないのが通常です。そして何より重要なのは、家賃を代わりに払う義務は一切ないということです。
ただし、申し込み時に確認の電話が入る可能性があることは、頼む相手に必ず伝えておいてください。何も知らされていない状態で保証会社から電話が来ると、相手が不審に思って「知らない」と答えてしまい、それが原因で審査が止まることがあります。
頼むときに伝えるべき3点を厳選すると、①お金の責任は一切ないこと。②審査中に確認の電話が入る可能性があること。③入居中は基本的に何も起こらないこと。この3つを先に伝えておけば、相手も安心して引き受けられます。
緊急連絡先だけで済む物件がほとんど
逆に言えば、緊急連絡先さえ立てられれば、ほとんどの物件は申し込みができます。
保証人は不要、緊急連絡先だけでOK。これが今の賃貸の標準形です。
保証会社の費用はいくらかかるのか

保証会社を使うことが標準なら、次に気になるのは費用です。実額をお伝えします。
初回保証料は「総賃料の50%」が相場
初回の保証料は、総賃料の50%が相場です。
ここでいう総賃料とは、家賃だけでなく管理費・共益費なども含めた月額の合計です。
| 保証料の水準 | 総賃料に対する割合 |
|---|---|
| 安いほう | 30%〜40% |
| 相場 | 50% |
| 高いほう | 100%(居住用ではこれが上限クラス) |
つまり総賃料が8万円の物件なら、初回の保証料は4万円前後が標準ということです。
更新料は「年1万円〜1.5万円」が多い
保証会社の契約は1年ごとに更新されるケースが多く、そのたびに更新料がかかります。
年間の更新料は10,000円〜15,000円が多いというのが現場の実感です。物件の更新料とは別にかかるので、混同しないよう注意してください。
最近増えている「月額型」
ここは最近の変化としてお伝えしたい部分です。
年更新の料金がない代わりに、総賃料の1%〜2%を毎月支払う「月額型」の保証会社が増えてきました。
| 年更新型 | 月額型 | |
|---|---|---|
| 初回 | 総賃料の50%前後 | 総賃料の50%前後 |
| その後 | 年1万〜1.5万円 | 毎月 総賃料の1〜2% |
| 総賃料8万円の場合 | 年1万〜1.5万円 | 月800〜1,600円(年9,600〜19,200円) |
長く住む場合、月額型のほうが総額は高くなるケースもあります。契約時にどちらのタイプか確認しておくと、後から「思っていた費用と違う」ということがなくなります。
毎月1〜2%だと、長く住むと結構な額になるね…
そう。だから契約時にどのタイプか確認するのが大事なんだ!
保証料は交渉できません
ここは正直にお伝えします。
保証料の交渉は、全くできません。
保証会社が定めた料金体系なので、仲介業者にも管理会社にも値下げの権限がありません。「初期費用を抑えたい」という相談はよくいただきますが、保証料については動かせない費用として計算に入れてください。
連帯保証人を立てても保証料は安くなりません
「連帯保証人を立てれば保証料が下がるのでは」という質問もよくいただきます。
基本的に安くなりません。
保証人がいても保証料は変わらないので、費用面のメリットを期待して保証人を立てる意味はありません。
初期費用全体の中で、保証料はどのくらいの位置か
保証料だけを見ると「高い」と感じますが、初期費用全体の中での位置を把握しておくと計画が立てやすくなります。
総賃料8万円の物件を借りる場合の、一般的な初期費用の内訳が下の表です。
| 項目 | 目安の金額 |
|---|---|
| 敷金(1ヶ月) | 80,000円 |
| 礼金(1ヶ月) | 80,000円 |
| 前家賃(1ヶ月) | 80,000円 |
| 仲介手数料(0.5ヶ月+税) | 44,000円 |
| 保証料(総賃料の50%) | 40,000円 |
| 火災保険(2年) | 15,000〜20,000円 |
| 鍵交換費用 | 16,500〜33,000円 |
| 合計の目安 | 約35万円前後 |
初期費用の総額は、家賃の4〜5ヶ月分が目安になります。この中で保証料が占める割合は1割程度です。
※物件によって敷金・礼金の有無は大きく変わります。あくまで一般的な例です。
保証料は交渉できませんが、敷金・礼金・鍵交換費用などは物件によって差があります。初期費用を抑えたい場合は、交渉できない費用に悩むより、物件選びの段階で総額を比較するほうが効果的です。
保証料だけ見てたけど、全体だと1割くらいなんだ!
そう。動かせない費用を気にするより、物件で総額を比べるほうが早いんだ!
初期費用のどの項目が交渉できるのか、そして「交渉」そのものにどんなリスクがあるのかは、別記事で詳しくまとめました。総額を抑えたい方は、あわせて読んでみてください。
【重要】保証会社は自分で選べません

保証料が違うなら、安い保証会社を選びたいよね!
そこが一番の誤解なんだ。保証会社は選べないんだよ!
物件ごとに保証会社は決まっている
保証会社の費用に幅があると聞くと「安いところを選びたい」と思うはずです。しかし残念ながら、それはできません。
管理会社が提携している指定の保証会社を使うのが、ほとんどのケースです。
中には「こちら側で選んでもいい」という物件もありますが、ほとんどありません。
「この保証会社にしてほしい」と言うのは避けてください
これは知っておいてほしい注意点です。
入居者側から「この保証会社を使ってほしい」という希望は、全く通らないと思っておいたほうがいいです。
それだけでなく、リスクもあります。
「指定の保証会社では審査が通らない事情がある人なのでは」と思われる可能性が高いからです。
保証会社を指定したがるということは、裏を返せば「指定の保証会社だと落ちる心当たりがある」と受け取られます。結果として審査にマイナスの影響が出かねません。
信用情報などに不安がある場合、保証会社を指定するのではなく、担当者に不安の内容を伝えて物件を提案してもらうのが正しい進め方です。保証会社は物件に紐づいているので、物件を選ぶことが実質的に保証会社を選ぶことになります。
複数社ある場合は「選べる」のではなく「順番に審査」
管理会社が複数の保証会社と提携している場合もありますが、これは入居者が選べるという意味ではありません。
順番に審査していくというのが実際の運用です。1社目で落ちたら2社目、という流れになります。
だからこそ、1社で落ちても諦める必要はありません。仲介業者に「他の保証会社でも出せますか」と確認してみてください。
審査を通すのが上手い仲介業者は、保証会社を把握している
ここは仲介業者を選ぶ基準としてお伝えします。
物件ごとにどの保証会社を使っているかを把握しているかどうかは、仲介業者によって差があります。
そして審査を通すのが上手い仲介業者は、これを把握しています。
「この物件はこの保証会社だから、あなたの状況だと通りやすい」「こちらの物件は別の保証会社なので、そちらから出しましょう」こうした判断ができる担当者に出会えると、審査の通過率は明確に変わります。
連帯保証人を立てるメリットは、今はほぼありません

率直に言うと、メリットはない
「連帯保証人を立てたほうが有利なのでは」と考える方は多いですが、正直にお伝えします。
今の時代、連帯保証人を立てるメリットは、ほぼありません。
理由は3つあります。
| メリットがない理由 | 内容 |
|---|---|
| 保証料が安くならない | 保証人がいても料金は変わらない |
| 審査が有利にならない | 保証会社の審査基準が主だから |
| そもそも立てられない人が多い | 親の高齢化・親族との関係など |
「連帯保証人がいることで審査が有利になる」という期待は、持たないほうがいいです。
「両方必要」と言われるのはどんなケースか
保証会社と連帯保証人の両方を求められることもあります。これはどういう場合かというと、契約者の収入が安定していない場合です。
収入面に不安がある申込者に対して、保証会社だけでなく連帯保証人も求めることでリスクを抑えようとするわけです。
つまり「両方必要」と言われたら、収入面で慎重に見られているサインだと考えてください。
連帯保証人に求められる条件
実際に連帯保証人を立てる場合、求められるのは主に収入です。
| 項目 | 実際の扱い |
|---|---|
| 収入 | 最重要。支払い能力があるか |
| 年齢 | あまり関係ない |
| 続柄 | いとこでもOKになることもある |
「親でないとダメ」と思われがちですが、続柄の条件は意外と柔軟です。収入のある親族に頼めるなら、続柄が遠くても認められるケースがあります。
民法改正で保証人の責任には上限が明記されるようになりました
個人が連帯保証人になる場合、契約書に「極度額(保証する上限金額)」を明記することが必須になりました。極度額が書かれていない保証契約は無効になります。かつては「いくらまで責任を負うのか分からない」状態でしたが、現在は上限が明示されます。保証人を頼む側・頼まれる側ともに、契約書の極度額を必ず確認してください。
保証人も緊急連絡先も立てられない場合

どうしても頼める人がいない場合の選択肢を整理します。
①親を契約者にする
親が契約者になり、本人が同居人として入居する方法です。現場でも使いますが、注意点があります。
最近は、成人している場合は契約者を親ではなく本人にするよう求められることが増えました。以前より通りにくくなっているので、この方法を前提にしないほうがいいです。
②緊急連絡先の条件が緩い物件を探す
続柄の条件が緩い物件、あるいは知人でも認められる物件もあります。これは物件によるので、担当者に事情を伝えて探してもらうのが確実です。
③担当者に正直に相談する
結局これが一番です。「保証人も緊急連絡先も頼める人がいない」と正直に伝えてください。
隠したまま物件を探しても、申込みの段階で止まってしまいます。最初に伝えてもらえれば、条件に合う物件を最初から提案できます。
保証会社とは良好な関係を築いてください

最後に、一番伝えたいことをお伝えします。
保証会社は、今後賃貸物件を借りる上でなくてはならない存在です。
だからこそ、家賃の滞納を含めて、良好な関係を築いておいたほうがいいです。
滞納履歴は次の契約に影響します
保証会社は業界団体に加盟しているケースがあり、加盟社間で家賃の滞納情報を共有しています。
つまり一度家賃を滞納すると、次に引っ越すときの審査に影響する可能性があります。「あの物件を出たから関係ない」とはならないのです。
「うっかり滞納」が一番もったいない
悪意がなくても、口座残高不足で引き落としができなかった。こういう「うっかり滞納」でも記録は残ります。
家賃は毎月必ず出ていく固定費なので、引き落とし口座の残高管理は仕組みで対応しておくのが確実です。
うっかりでも記録に残っちゃうんだ…
そうなんだ。だから家賃の引き落とし口座には余裕を持たせておくのが大事だよ!
なお、二人で住む場合、実際に家賃を払っているのが同居人だったとしても、滞納の責任はすべて契約者に及びます。同棲を検討している方は、契約者を決める前に確認しておいてください。
よくある質問

Q1. 保証会社を使いたくない場合、選択肢はありますか?
現実的にはほぼありません。保証会社必須の物件が9割以上なので、使わない前提で探すと物件が極端に限られます。
Q2. 保証料は初期費用に含まれますか?
はい、初期費用の一部として請求されます。敷金・礼金・仲介手数料・前家賃などと合わせて計算に入れてください。
Q3. 緊急連絡先に頼んだ人に迷惑はかかりますか?
金銭的な責任は一切ありません。本人と連絡が取れないときに連絡が入る可能性があるだけです。その点を正確に伝えて頼んでください。
Q4. 保証会社の審査に落ちたらどうすればいいですか?
管理会社が複数の保証会社と提携している場合、別の保証会社で再審査できることがあります。まず仲介業者に確認してください。
Q5. 連帯保証人は外国籍でも大丈夫ですか?
物件や保証会社によって扱いが異なります。日本国内に居住し、収入が確認できることが条件になるケースが多いです。担当者に事前に確認してください。
Q6. 保証会社の更新料を払わないとどうなりますか?
保証契約が解除され、賃貸契約そのものの継続に影響する可能性があります。必要な費用として認識しておいてください。
まとめ|保証人より「緊急連絡先」を準備してください

| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 保証会社必須の物件 | 9割以上 |
| 保証人だけで契約できる物件 | 1割未満 |
| 初回保証料の相場 | 総賃料の50%(30〜100%の幅) |
| 更新料 | 年1万〜1.5万円、または月額1〜2% |
| 保証料の交渉 | できない |
| 保証会社の選択 | できない(物件ごとに指定) |
| 連帯保証人のメリット | 今はほぼない |
| 本当に必要なもの | 緊急連絡先 |
「連帯保証人がいないから部屋を借りられない」この心配は、今の時代ほぼ不要です。
それよりも準備してほしいのが緊急連絡先です。金銭的な責任は一切ないので、役割を正確に伝えて誰かに頼んでおいてください。これがないと、申し込みの段階で止まってしまいます。
保証人より緊急連絡先。覚えた!
お金の責任がないなら、兄弟に頼みやすいかも…!
それでいいんだ!そして保証会社はこれから何度も付き合う相手。家賃の滞納をしないことが、次の引っ越しのときの自分を助けるんだよ!
物件探しを始める前に、緊急連絡先として名前を出せる人を一人決めておく。それだけで、部屋探しはぐっとスムーズになります。
▼ 賃貸契約で損をしないための記事














