賃貸の更新料は払わないとどうなる?賃貸営業歴10年の私が教える更新時の総額と確認ポイント
この記事でわかること
- 更新時にかかる費用は「更新料」だけではないという実態
- 更新時の総額は家賃の1.5〜2ヶ月分という目安
- 更新料は家賃と一緒に引き落とされるため、払わない=即滞納者になる話
- 「更新料なし」の物件は家賃に上乗せされているという現実
- 更新料の交渉が通らない理由
- 更新書類で契約内容が変わっていないか確認すべき理由
- 普通借家と定期借家で対応がまったく変わる話
- 家賃値上げの通告が増えているという現場の実感
「更新料が高い。払わないとどうなるんだろう」
契約更新の案内が届くと、多くの方がこう考えます。ネットで調べると「契約書に記載があれば支払い義務がある」「払わないと契約解除のリスクがある」といった解説が出てきます。
それはその通りなのですが、賃貸営業歴10年の私の立場から、もっと現実的な話をお伝えします。
そもそも「払わない」という選択肢は、実質的に存在しません。
理由は単純で、更新料は家賃と一緒に引き落とされるからです。
この記事では、更新時のリアルな費用と、本当に確認すべきポイントをお伝えします。
更新時にかかる費用は「更新料」だけではありません

更新料って家賃1ヶ月分でしょ?それくらいなら…
それが落とし穴なんだ。更新時に来るのは更新料だけじゃないんだよ!
総額は家賃の1.5〜2ヶ月分
更新料の相場は家賃の1ヶ月分です。しかし実際に請求される総額は、それだけでは収まりません。
家賃にもよりますが、更新時の総額は賃料の1.5ヶ月分〜2ヶ月分になるのが一般的です。
更新時に請求される費用の内訳
| 項目 | 目安の金額(家賃8万円の場合) |
|---|---|
| 更新料 | 80,000円(家賃1ヶ月分) |
| 保証会社の更新料 | 10,000〜15,000円 |
| 火災保険(2年) | 20,000円前後 |
| 24時間サポート | 15,000〜20,000円程度 |
| 更新事務手数料 | 20,000円前後 |
| 合計の目安 | 約14万〜15万円(家賃の約1.8ヶ月分) |
※物件・契約内容によって変動します。
更新事務手数料は管理会社に払う費用
内訳の中で「これは何の費用だろう」と思われやすいのが更新事務手数料です。
相場は20,000円前後で、基本的には管理会社に支払うものです。更新の手続きにかかる事務費用という位置づけになります。
家賃1ヶ月分だけを想定していると足りません
ここが重要な注意点です。
「更新料は家賃1ヶ月分」と覚えていると、実際の請求額を見て驚くことになります。家賃の2ヶ月分近くを用意しておくつもりで準備してください。
更新は2年に一度やってくるものなので、月々の家計に「更新積立」として組み込んでおくと慌てずに済みます。家賃8万円なら、2年で15万円。月あたり約6,000円を積み立てておけば、更新時に困りません。
「更新料なし」の物件は、家賃に上乗せされています

更新料がない物件を探せばいいんじゃないの?
探しても基本的にないし、あってもその分家賃が高いんだ!
更新料がない物件は基本的にありません
「更新料なしの物件を選べばいい」という考え方もありますが、現場の実感としては基本的にそういう物件はありません。
あったとしても家賃に上乗せされている
そして重要なのはここです。
更新料がない場合、その分は家賃に上乗せされていることがほとんどです。
| 更新料あり | 更新料なし | |
|---|---|---|
| 家賃 | 80,000円 | 83,000円 |
| 更新料(2年ごと) | 80,000円 | 0円 |
| 2年間の総支払額 | 2,000,000円 | 1,992,000円 |
※あくまで考え方の例です。
つまり「更新料なし=お得」とは限りません。2年分の総額で比較すると、ほとんど変わらないか、場合によっては高くつくこともあります。
地域差もそれほどありません
「関西は更新料がない」「地域によって慣習が違う」という情報も見かけますが、現場の実感として、地域によって大きく違うケースはあまりありません。
地域差を期待するより、契約書に更新料の記載があるかどうかを確認するほうが確実です。
【重要】そもそも「払わない」選択肢は存在しません

ここが、この記事で一番お伝えしたいことです。
更新料は家賃と一緒に引き落とされます
多くの記事が「更新料を払わないとどうなるか」を法的に解説していますが、現場ではもっとシンプルな現実があります。
更新料は、基本的に家賃と一緒に引き落とされます。
つまり「請求書が来たけれど払わない」という状況にはなりません。口座から自動的に引き落とされるからです。
払わない=滞納者扱い
じゃあ、引き落としの口座にお金を入れておかなかったら…?
その場合は滞納者扱いになるんだ。家賃を滞納したのと同じ扱いだよ!
引き落とし日に口座残高が足りなければ、家賃を滞納したのとまったく同じ扱いになります。
私は10年この仕事をしていますが、「更新料を払わない」という人を見たことがありません。払わないという選択をすることで、滞納者になってしまうからです。
滞納は次の引っ越しにも影響します
そして家賃の滞納は、その物件だけの問題では終わりません。
保証会社は業界団体に加盟しているケースがあり、加盟社間で滞納情報を共有しています。つまり一度滞納すると、次に引っ越すときの審査に影響する可能性があります。
どうしても資金が足りない場合、引き落とし日を迎えて滞納になる前に管理会社へ相談してください。分割払いや支払期日の調整に応じてもらえるケースもあります。黙って引き落とし不能になるのが最悪の対応です。
更新料の交渉は通りません

理由は「契約時に確認済み」だから
「更新料を値下げできないか」という相談もいただきますが、正直にお伝えします。
更新料の交渉は通りません。
理由は明確で、契約時に契約書で更新料の内容を確認してもらっているからです。「契約時に合意した内容ですよね」と言われれば、それ以上の交渉は難しくなります。
更新時の家賃交渉もほぼ通りません
「更新のタイミングなら家賃交渉ができるのでは」という情報も見かけますが、現場の実感としては、通ることはほぼありません。
交渉をする方は一定数いますが、成立するケースは稀です。
交渉をするなら、入居の申し込み前のほうがまだ可能性があります。ただしそれにもリスクがあるので、別記事にまとめました。
むしろ「家賃値上げ」の通告が増えています
ここは最近の変化としてお伝えしたい部分です。
大家さん側から家賃値上げを通告されるケースが、ここ最近かなり増えてきています。
物価上昇や維持費の増加を受けて、賃料の見直しをする大家さんが増えているためです。つまり更新時は「値下げ交渉のチャンス」ではなく、「値上げを通告される可能性があるタイミング」になってきているのが実情です。
【最重要】更新書類は「契約内容が変わっていないか」を確認してください

更新って、お金を払うだけじゃないの?
そこが一番の落とし穴なんだ。書類の中身を必ず確認してほしい!
更新時に必要なのは基本的に費用だけ
更新の手続き自体はシンプルで、基本的には費用の支払いのみです。特別な書類の提出を求められることは多くありません。
だからこそ、届いた書類をよく読まずに費用だけ払ってしまう方が非常に多いのです。
従来の契約から変更点がないかを確認する
これが、10年この仕事をしてきて一番お伝えしたいことです。
更新書類が届いたら、従来の契約と変更になっている点がないかを必ず確認してください。
確認すべきポイントは次のとおりです。
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 家賃・管理費 | 値上げされていないか |
| 契約形態 | 普通借家から定期借家に変わっていないか |
| 更新料の金額 | 従来と同じか |
| 特約の追加 | 新しい負担条項が増えていないか |
| 退去時の費用 | クリーニング費用の金額が変わっていないか |
| 禁止事項 | ペット・喫煙などの条件が変わっていないか |
不利な内容なら、即刻断りの連絡を
そして重要なのはここです。
普通借家契約の場合、不利な契約内容になっているなら、即刻断りの連絡を入れてください。
普通借家契約には借主を保護する仕組みがあるため、一方的に不利な条件を押し付けられる筋合いはありません。書類にサインをしてしまう前に、疑問点は必ず確認してください。
更新は「これまでと同じ条件で継続する手続き」だと思われがちです。しかし書類上は新しい契約を結び直す場面でもあります。内容が変わっていても、サインしてしまえば合意したことになります。「更新だから」と流さないで、費用を払う前に、必ず中身を読んでください。
普通借家か定期借家かで、対応がまったく変わります

更新について考えるうえで、自分の契約形態を知っているかどうかが決定的に重要です。
2つの契約形態の違い
| 普通借家契約 | 定期借家契約 | |
|---|---|---|
| 更新 | 原則として更新される | 期間満了で終了(再契約が必要) |
| 大家からの更新拒否 | 正当な理由がないとできない | 可能 |
| 条件変更 | 借主が拒否できる | 再契約の条件を飲むしかない |
| 借主の立場 | 強く保護される | 弱い |
普通借家なら、不利な条件は拒否できます
普通借家契約であれば、更新時に提示された不利な条件を拒否することができます。
家賃の値上げを通告されても、正当な理由がなければ受け入れる義務はありません。「その条件は受け入れられません」と伝えたうえで、従来の条件での更新を求めることが可能です。
定期借家で値上げを通告されたら、引っ越しを検討してください
一方、定期借家契約の場合は状況がまったく違います。
定期借家は期間満了で契約が終了するため、再契約の条件を大家さん側が自由に設定できます。条件を飲まなければ、住み続けることができません。
だから私は、定期借家で更新時に賃料の値上げの連絡が来たときは、基本的に引っ越しを提案します。
交渉の余地が構造的にないため、条件を受け入れるか、引っ越すかの二択になるからです。
更新するか、引っ越すかの判断

どちらが得かは、条件次第です
「更新料を払うより引っ越したほうが得なのでは」という相談もよくいただきます。
正直にお伝えすると、どちらのパターンも得な場合があります。だからこそ、更新のタイミングで一度見直すことが大切です。
判断の分かれ目は2つ
判断のポイントは次の2点です。
①普通借家か定期借家か
②更新・再契約の連絡が来たときの条件
定期借家で値上げを通告されたなら、引っ越しを検討する理由があります。普通借家で従来どおりの条件なら、更新するほうが金銭的には有利なことが多いです。
費用で比較するとこうなります
| 更新する場合 | 引っ越す場合 | |
|---|---|---|
| かかる費用 | 家賃の1.5〜2ヶ月分 | 初期費用(家賃4〜5ヶ月分)+引っ越し代 |
| 手間 | ほぼなし | 物件探し・審査・荷造り |
| メリット | 費用が安い | 家賃を下げられる可能性 |
単純な費用だけで見れば、更新するほうが圧倒的に安いです。引っ越しには初期費用として家賃の4〜5ヶ月分に加えて引っ越し代がかかります。
それでも引っ越しを検討すべきケース
ただし次の場合は、引っ越しを検討する価値があります。
- 定期借家で家賃を値上げされた
- 今の家賃が収入に対して重い(月収の2.5割を超えている)
- 生活スタイルが変わった(通勤先の変更・家族構成の変化)
- 設備の不具合が改善されない
特に家賃が重いと感じているなら、更新は見直しの好機です。家賃は固定費の中で最も大きい項目なので、ここを下げられれば家計へのインパクトは大きくなります。
更新のタイミングで引っ越しを考える理由として多いのが、騒音です。我慢して更新するか引っ越すかで迷っている方は、こちらも読んでみてください。私自身が注意された側になった話も書いています。
更新の流れと、何もしなかった場合

お知らせは1年前〜6ヶ月前に届きます
更新のお知らせは、基本的に1年前から6ヶ月前ぐらいに届くことが多いです。
意外と早い段階で連絡が来るので、届いたらすぐに内容を確認してください。時間に余裕があるうちに確認すれば、引っ越しを選ぶ場合も準備ができます。
何もしないと「法定更新」になります
「更新の書類を放置したらどうなるのか」という疑問についてお答えします。
普通借家契約の場合、何もしなければ法定更新になります。
法定更新とは、借地借家法に基づいて契約が自動的に更新される仕組みです。ただし契約書に「法定更新の場合も更新料を支払う」と記載されていれば、更新料の支払い義務は残ります。
放置すれば費用を免れるということではないので、注意してください。
放置しても更新料はかかるんだ…
そう。だから放置じゃなくて、内容を確認して判断するのが正解だよ!
よくある質問

Q1. 更新料は法律で決まっているものですか?
法律で定められたものではありませんが、契約書に記載があれば支払い義務が生じます。2011年の最高裁判決でも、更新料の条項は原則として有効と判断されています。
Q2. 更新料を分割払いにできますか?
物件や管理会社によっては相談に応じてもらえる場合があります。ただし引き落とし日を過ぎてからでは滞納扱いになるので、必ず事前に相談してください。
Q3. 更新のタイミングで家賃を下げてもらえますか?
現場の実感としては、ほぼ通りません。むしろ最近は大家さん側から値上げを通告されるケースが増えています。
Q4. 定期借家契約かどうかは、どこで確認できますか?
契約書の冒頭に契約形態が記載されています。「定期建物賃貸借契約書」となっていれば定期借家です。わからない場合は管理会社に確認してください。
Q5. 更新書類にサインする前に確認すべきことは?
家賃・契約形態・特約・退去時の費用の4点です。特に普通借家から定期借家に変わっていないかは必ず確認してください。
Q6. 更新料が払えない場合はどうすればいいですか?
引き落とし日の前に管理会社へ相談してください。放置して引き落とし不能になると、滞納として記録が残り、次の引っ越しの審査にも影響します。
まとめ|更新は「書類を確認する機会」です

| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 更新料の相場 | 家賃の1ヶ月分 |
| 更新時の総額 | 家賃の1.5〜2ヶ月分 |
| 更新料なしの物件 | 基本的にない。あっても家賃に上乗せ |
| 「払わない」選択肢 | 実質ない(家賃と一緒に引き落とされる) |
| 交渉 | 更新料も家賃も、ほぼ通らない |
| 最重要 | 契約内容が変わっていないか確認する |
| 普通借家 | 不利な条件は拒否できる |
| 定期借家 | 値上げされたら引っ越しを検討 |
更新料について、10年この仕事をしてきて一番お伝えしたいことはシンプルです。
従来の契約から変更になっている点がないか、書類を必ず確認してください。
そして普通借家契約で不利な内容になっているなら、即刻断りの連絡を入れてください。
更新は「費用を払うだけの手続き」ではありません。契約内容を見直す、2年に一度の機会です。
更新料を払うかどうかじゃなくて、中身を見るのが大事なんだね!
私、次の更新のときは書類をちゃんと読んでみる!
それでいいんだ!お金を払う前に、まず中身を読む。これだけで損を防げるよ!
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